最重要理論② なぜ「表面利回り6%」が一つの目安になるのか

最重要理論

借入をして不動産投資をする場合、よく次のような話を耳にします。

表面利回りが6%くらいないと、不動産投資としては成り立たない

不動産投資に少しでも触れたことがある方なら、一度は聞いたことがある感覚ではないでしょうか。

もちろん、これは絶対的なルールではありません。都心の築浅物件であれば、表面利回りが6%を下回っていても普通に取引されます。逆に、地方や築古の物件であれば、表面利回りが10%を超えていても、それだけで「良い投資」とは言えません。

それでもなお、「表面利回り6%」という数字には、一定の実務感覚があります。

では、この6%という数字は、いったい何を意味しているのでしょうか。

単に「家賃収入が物件価格に対して6%ある」というだけなら、それはあまりにも粗い見方です。不動産投資には、管理費、修繕費、固定資産税、空室、広告費、原状回復費など、さまざまな費用がかかります。さらに借入を使うのであれば、当然、金融機関に金利も支払います。

前回の記事では、個人の不動産投資の成果を、次のような式で整理しました。

NAV(の年間増加分)= 運用残高 × (NOI利回り ー 借入金利) ー 税金

つまり、不動産投資の利益の源泉は、かなり単純化して言えば、

NOI利回りが、借入金利をどれだけ上回っているか

にあります。

ただ、今回はこの式を、もう一段だけ精密にしてみたいと思います。

というのも、借入をして不動産を買う場合でも、実際には自己資金も投じているからです。そして、自己資金には「金利」は発生しませんが、「コスト」は存在します。

それは、もしその自己資金を不動産ではなく、株式や投資信託など他の投資対象(投資機会)に回していたら得られたかもしれない収益を、放棄しているという意味でのコストです。

この点を考えると、「表面利回り6%」という目安の意味は、もう少し立体的に見えてきます。


表面利回りは、かなり”手前”の数字である

まず、表面利回りとは何でしょうか。

表面利回りは、年間家賃収入を物件価格で割ったものです。

表面利回り = 年間満室家賃収入 ÷ 物件価格

例えば、1億円の物件で、年間家賃収入が600万円であれば、表面利回りは6%です。

計算自体はとてもシンプルです。だからこそ、物件情報サイトや販売図面では、まず表面利回りが目立つ形で表示されます。

ただ、ここで気をつけたいのは、表面利回りは「まだ何も差し引いていない数字」だということです。

家賃収入が600万円あるとしても、その600万円がそっくり手元に残るわけではありません。実際には、そこから次のような費用が引かれていきます。

  • 管理会社への管理委託料
  • 共用部の電気代・水道代
  • 清掃費
  • 固定資産税・都市計画税
  • 火災保険料
  • 修繕費
  • 入退去に伴う原状回復費
  • 入居者募集時の広告費
  • 空室による収入減少

これらを差し引いた後に残る、不動産そのものが生み出す営業収益がNOIです。

NOI = 賃料収入 ー 不動産運営にかかる費用

そして、NOIを物件価格で割ったものがNOI利回りです。

NOI利回り = NOI ÷ 物件価格

不動産投資を「ちゃんと考える」うえで本当に見るべきなのは、表面利回りではなく、このNOI利回りの方だと思います。

なぜなら、資本コストと比べるべき相手は、何も引いていない表面利回りではなく、費用を引いた後の実質的な利回りだからです。


表面利回り6%は、NOI利回りでは何%なのか

では、表面利回り6%の物件は、NOI利回りで見ると何%くらいになるのでしょうか。

もちろん、物件によって変わります。築年数、構造、エリア、戸数、修繕履歴、管理状態、固定資産税の水準、空室率——このあたりで、必要な経費は大きく動きます。

ただ、ここでは感覚をつかむために、ざっくりとした例で考えてみます。

1億円の物件があり、年間満室家賃収入が600万円だとします。表面利回りは6%です。

ここから、運営費用や空室損として、家賃収入の20%が引かれるとします。すると、NOIはこうなります。

年間家賃収入600万円 ー 諸経費120万円 = NOI480万円

この場合、NOI利回りは、

NOI480万円 ÷ 物件価格1億円 = 4.8%

です。

つまり、表面利回り6%の物件は、実質的にはNOI利回り4.8%程度の物件として見ることになります。

仮に諸経費率が25%なら、NOIは450万円、NOI利回りは4.5%。30%なら、NOIは420万円、NOI利回りは4.2%です。

こう並べてみると、「表面利回り6%」という数字の見え方が変わってきます。

表面上は6%でも、不動産が実際に生み出している利回りは、4%台半ばから後半くらいまで下がりうる、ということです。

そして、借入を使う不動産投資では、このNOI利回りから資本コストを差し引いた差額こそが、利益の基本的な源泉になります。


最初の理解としては「NOI利回り ー 借入金利」でよい

まず、最初の一歩としては、NOI利回りと借入金利を比べれば十分です。

例えば、NOI利回りが4.8%で、借入金利が2.0%であれば、スプレッドは2.8%です。

4.8% ー 2.0% = 2.8%

この2.8%の差が、借入を使って不動産を持つ意味を生みます。

不動産そのものが4.8%で回っている一方で、借りたお金のコストは2.0%で済んでいる。だから、その差額が自分の側に残る。

これが、不動産投資を理解するうえで、いちばん基本的な見方です。

ただし、これはあくまで「簡便版」です。なぜなら、この見方には、自己資金のコストが十分に入っていないからです。


自己資金にもコストがある

個人投資家が1億円の物件を買うとします。

仮に、8,000万円を金融機関から借り、2,000万円を自己資金として投じるとします。

そして、その2,000万円は、不動産に入れなければ別の運用に回せたはずのお金です。日経平均に連動する投資信託や、全世界株式のインデックスファンドに投じていたかもしれません。

もちろん、将来の株式リターンが確定しているわけではありません。

それでも、「この自己資金を不動産に投じることで、他の運用機会を手放している」という事実からは、逃れられません。

この手放した利益を、ファイナンスの言葉では機会費用と呼びます。

つまり、自己資金には、目に見える金利は発生しないけれど、目に見えない資本コストがある。ここを無視すると、不動産投資を実際よりも有利に見積もってしまう、というわけです。


ファンド運用では、WACCで資本コストを見る

ここで、前回の記事で扱ったファンド運用の世界に、いったん戻ります。

不動産ファンドや企業金融の世界では、資本コストを見るときに、借入金利だけを見るわけではありません。借入と自己資本の両方を使っている以上、それぞれのコストを加重平均して考えます。

これがWACC、つまり加重平均資本コストです。

(本来は税効果も絡んでくるのですが、ここではいったん脇に置きます。)ものすごく簡略化して書くと、WACCはこう書けます。

WACC = 借入金利 × 借入比率 + 株主資本期待収益率 × 自己資本比率

例えば、借入比率80%、自己資本比率20%。借入金利2.0%、株主資本期待収益率6.0%だとすれば、WACCはこうなります。

2.0% × 80% + 6.0% × 20% = 2.8%

この場合、資金調達コストは2.0%ではありません。

借入金利だけを見れば2.0%ですが、自己資本にも6.0%の期待収益率があると考えると、全体の資本コストは2.8%になります。

そしてファンド運用では、投資対象がこのWACCを上回る収益率を生んでいるかどうかが問われます。前回の記事で整理した、

EVA = 運用残高 × (ROIC ー WACC)

という式は、まさにこの考え方に基づいています。

ROIC、つまり投下資本に対する収益率が、WACCを上回っていれば価値を生んでいる。逆に、ROICがWACCを下回っていれば、会計上は黒字でも、投資家にとっては価値を壊している可能性がある。

これが、ファンド運用やコーポレートファイナンスの基本的な見方です。


個人投資家にも「自分版WACC」がある

この考え方は、個人投資家にもそのまま応用できます。

個人投資家には、ファンドのような外部株主はいません。それでも、自己資金を投じている以上、その自己資金には期待収益率があります。

例えば、自分の中で「株式インデックスに長期投資すれば、年率5%くらいは期待したい」と思っているとします。だとすれば、不動産に投じる自己資金にも、少なくともそれに近い期待収益率を求めるのは、自然なことだと思います。

もちろん、株式と不動産ではリスクの性質が違います。株式は日々価格が動きます。不動産は価格が毎日表示されない代わりに、流動性が低く、個別性が高く、修繕や空室といった運営リスクを抱えています。

ですから、「日経平均やオールカントリーの期待利回りを、そのまま自己資本コストとして使えばいい」と単純に言い切ることはできません。

ただ、少なくとも比較対象として、株式インデックスの期待収益率を意識しておくことには、大きな意味があります。

なぜなら、自己資金は有限だからです。

2,000万円を不動産に入れるということは、その2,000万円を株式、投資信託、債券、現金、あるいは他の事業機会に使わない、という意思決定でもあります。

だとすれば、不動産投資は、単に「借入金利を上回っているか」ではなく、

借入金利と自己資金の期待収益率を合わせた、自分にとっての資本コストを上回っているか

で見るべきです。

この意味で、個人投資家にも「自分版WACC」があると考えることができます。

〔図3:自分版WACCの内訳——借入分1.6%+自己資本分1.2%=2.8%〕


自分版WACCで見ると、6%の意味が変わる

先ほどの例に戻ります。

1億円の物件で、表面利回り6%。諸経費率20%とすると、NOIは480万円、NOI利回りは4.8%です。

この物件を、借入8,000万円、自己資金2,000万円で買うとします。借入金利は2.0%。自己資金については、株式インデックスなどの代替投資を考慮して、期待収益率を6.0%と置きます。

このとき、自分版WACCはこうなります。

2.0% × 80% + 6.0% × 20% = 2.8%

NOI利回りは4.8%ですから、WACCとの差は2.0%です。

4.8% ー 2.8% = 2.0%

借入金利だけと比べたときのスプレッドは、2.8%でした。

4.8% ー 2.0% = 2.8%

ところが、自己資金の期待収益率まで含めると、スプレッドは2.0%まで縮みます。

この差は、けっこう重要です。

借入金利だけを見ていると「意外と余裕がある」と思えた投資が、自己資本コストまで含めると、そこまでの余裕はない——とわかるからです。

〔図2:借入金利だけで見た場合と、自分版WACCで見た場合のスプレッド比較〕

これが、「表面利回り6%」という目安を、より正確に理解するためのポイントだと思います。

表面利回り6%は、諸経費を引くとNOI利回り4%台になります。そこから、借入金利だけでなく、自己資本の期待収益率も含めた資本コストを引くと、本当の意味での超過収益は、さらに小さくなります。

だからこそ、表面利回りが低すぎる物件は、いくら低金利で借りられても、投資としての魅力が薄くなりやすいのです。


自己資本コストを入れると、投資判断が厳しくなる

ここで、表面利回り5%の物件を考えてみます。

1億円の物件で、年間家賃収入は500万円。諸経費率25%とすると、NOIは375万円。NOI利回りは3.75%です。

借入比率80%、自己資本比率20%。借入金利2.0%、自己資本期待収益率6.0%とすると、自分版WACCは先ほどと同じ2.8%です。

すると、NOI利回りとWACCの差は、

3.75% ー 2.8% = 0.95%

となります。

借入金利だけと比べれば、

3.75% ー 2.0% = 1.75%

ですから、まだそれなりにスプレッドがあるように見えます。

ところが、自己資本コストを含めると、スプレッドは1%を切ります。

ここから、空室、修繕、金利上昇、賃料下落、売却価格の下落、税金……といったものを考えると、安全余白はかなり薄いと言わざるを得ません。

このように、自己資本コストを入れると、投資判断は少し厳しくなります。

でも、それは悪いことではありません。むしろ、現実に近づいているということです。

「借入金利より高い利回りで回っているから大丈夫」——そう考えるだけでは、自己資金を投じることの重みを、見落としてしまいます。

個人投資家にとって自己資金は、次の物件を買うための種銭でもあり、生活防衛資金でもあり、株式など他の運用に回せる資本でもあります。だからこそ、それを不動産に固定する以上、相応のリターンを求めるべきだと思います。


ただし、個人投資家はファンドとまったく同じではない

ここまで書くと、「では個人投資家も、完全にWACCで投資判断すべきなのか」と思われるかもしれません。

理論的には、その方向で考えるほど精度は上がります。

ただ、個人投資家とファンドには、違いもあります。

ファンドの場合、株主資本期待収益率は、外部投資家から要求されるリターンです。投資家は、ファンドに資金を預ける代わりに、一定以上のリターンを求めます。ファンドマネージャーは、その要求リターンを上回る運用をしなければなりません。

一方、個人投資家の場合、自己資本期待収益率は、外部から強制されるものではありません。自分がどれだけのリターンを求めるか、どれだけのリスクを許容するか、どれだけ不動産という資産を持ちたいか——そこで変わってきます。

ある人にとっては、株式インデックスの期待収益率が比較対象になるかもしれません。別の人にとっては、現金で寝かせておくより良いかどうかが大事かもしれません。また別の人にとっては、インフレ耐性、相続対策、事業化、金融機関との取引実績、将来の独立に向けた経験値——金銭リターン以外の意味もあるかもしれません。

ですから、個人投資家の自己資本コストには、必ずしも一つの正解があるわけではありません。

ただし、どんな数字を置くにせよ、ゼロと考えるのは危険です。

自己資金を入れている以上、そのお金には代替的な使い道があった。この事実だけは、投資判断の中に入れておくべきだと思います。


借入比率が高いほど、自己資本コストの影響は小さく見える

ここで、借入比率についても少し考えてみます。

自分版WACCの式は、こうでした。

自分版WACC = 借入金利 × 借入比率 + 自己資本期待収益率 × 自己資本比率

この式を見ると、借入比率が高いほど、自己資本コストの影響は小さくなります。

例えば、借入金利2.0%、自己資本期待収益率6.0%とします。借入比率80%、自己資本比率20%なら、WACCは2.8%。

2.0% × 80% + 6.0% × 20% = 2.8%

一方、借入比率90%、自己資本比率10%なら、WACCは2.4%になります。

2.0% × 90% + 6.0% × 10% = 2.4%

この意味で、低い金利で高い借入比率を確保できるほど、資本コストは下がります。これが、不動産投資で融資条件が非常に重要になる理由です。

ただ、ここには注意点もあります。

借入比率を高めると、WACCは下がりやすくなりますが、同時に返済負担と財務リスクは高まります。元本返済を含めた毎月のキャッシュフローは薄くなりますし、空室や修繕が起きたときの耐久力も落ちます。物件価格が下落すれば、自己資本が毀損するスピードも速くなります。

結局のところ、高いレバレッジは、資本コストを下げてくれる代わりに、リスクも一緒に増幅させます。都合のいい片側だけ、ということはありません。

この点は、ファンド運用でも個人投資家でも同じです。


「表面利回り6%」は、WACCを上回るための入口である

ここまでを踏まえると、「表面利回り6%」という目安の意味は、次のように整理できます。

表面利回り6%の物件は、諸経費を引くと、NOI利回りが4%台半ばから後半になることが多い。

一方で、借入金利が2%前後、自己資本期待収益率を5〜7%程度と置き、借入比率を70〜80%程度と考えると、自分版WACCはおおむね2%台後半から3%台前半になります。

この場合、NOI利回りが4%台半ばから後半であれば、WACCを1〜2%程度上回る可能性があります。この超過部分が、投資家にとっての価値創造の源泉です。

逆に、表面利回りが5%台前半まで下がると、諸経費控除後のNOI利回りは3%台になることが多くなります。そうなると、借入金利だけは上回っていても、自己資本コストを含めたWACCを十分に上回らない可能性が出てきます。

つまり、

表面利回り6%ないと不動産投資として成り立たない

という言葉は、より正確には、

表面利回りから諸経費を引いたNOI利回りが、借入金利と自己資本期待収益率を加重平均した資本コストを上回り、さらに安全余白を残すためには、そのくらいの入口利回りが必要になりやすい

という意味だと理解できます。

こう言うと少し長いですが、こちらの方が本質に近いと思います。


6%は「答え」ではなく、翻訳前の数字である

ただし、ここでもう一度だけ強調しておきたいのは、6%は答えではない、ということです。

6%という数字は、あくまで翻訳前の数字です。

表面利回りを見たら、まずNOI利回りに翻訳する。次に、借入金利だけでなく、自己資本期待収益率も含めた自分版WACCに翻訳する。そのうえで、

NOI利回り ー 自分版WACC

を見る。

この順番が大切です。

例えば、表面利回り5.5%でも、諸経費率が低く、借入金利が低く、自己資本比率も抑えられ、賃貸需要が安定しているなら、十分に成立するかもしれません。

逆に、表面利回り7%でも、経費率が高く、修繕リスクが大きく、借入金利が高く、自己資金を多く入れざるを得ないなら、思ったほど魅力的ではないかもしれません。

つまり、表面利回りは出発点にすぎません。本当に見るべきなのは、物件が生むNOI利回りと、自分がその物件を取得するために使う資本のコストとの、差です。


本当に見るべき順番

物件を見るときの順番を、改めて整理してみます。

最初に、表面利回りを見る。これは入口として便利です。物件情報を大量に見るときに、表面利回りで一次スクリーニングをすること自体は、合理的だと思います。

次に、空室、経費、修繕、固定資産税などを見込み、NOI利回りに引き直す。ここで初めて、その不動産そのものがどれくらいの収益力を持っているかが見えてきます。

そのうえで、借入金利を見る。これは他人資本のコストです。

さらに、自己資金の期待収益率を見る。これは自己資本のコストです。

最後に、借入比率と自己資本比率で加重平均し、自分版WACCを考える。そして、NOI利回りが自分版WACCをどれだけ上回っているかを見る。

この差が、個人投資家にとっての超過収益です。

かなり簡略化して言えば、個人投資家版の式は、こうなります。

NAV(の年間増加分) = 運用残高 × (NOI利回り ー 自分版WACC) ー 税金

もちろん、これは厳密な会計式ではありません。実際には元本返済、減価償却、税金、売却価格、譲渡税、取得費用など、もっと多くの要素があります。

それでも、不動産投資の構造を理解するための座標軸としては、この式がかなり有効だと思います。


まとめ:表面利回り6%の正体

「表面利回り6%ないと不動産投資として成り立たない」という言葉は、少し乱暴です。

ただ、その背後にある感覚は、決して間違っていません。

表面利回り6%という数字は、諸経費を引いた後のNOI利回りが、資本コストを上回り、なおかつ一定の安全余白を確保するための、入口の目安です。

そして、ここでいう資本コストは、借入金利だけではありません。借入には借入金利というコストがあり、自己資金には、株式やインデックスファンドなど他の運用機会を放棄するという意味でのコストがあります。

ですから、本当に見るべきなのは、

NOI利回り ー 借入金利

だけでなく、より正確には、

NOI利回り ー 自分版WACC

です。

この軸を持つと、表面利回り6%という数字の意味が変わります。それは、単なる不動産投資界隈の相場感ではありません。表面利回りから諸経費を引き、NOI利回りに直し、借入金利と自己資本期待収益率を加味した資本コストと比べるための、最初のチェックポイントです。

不動産投資をちゃんと考えるとは、表面上の数字を、そのまま受け取らないことだと思います。

表面利回りをNOI利回りに翻訳する。借入金利を資本コストに翻訳する。自己資金を「タダのお金」ではなく、期待収益率を持つ資本として扱う。そのうえで、投資対象が本当に資本コストを上回る価値を生んでいるのかを見る。

この見方ができるようになると、不動産投資は、単なる物件探しではなくなります。

それは、限られた自己資金と借入余力を、どの資産に、どの条件で配分するか、という資本配分の問題になります。

そして、この資本配分の問題として不動産投資を見ること——これこそが、個人投資家がファンド運用の考え方から学べる、最も重要な視点の一つだと思います。

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